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コラム

第33回 凸輪でグラデをしたら大変なことに!?

シールを印刷する時に【 凸輪 】でカラーのグラデーションを印刷して大変なことになった経験はありませんか?
シールの印刷方法は沢山あり、主だった印刷方法に
『 凸版輪転(凸輪)』『 オフセット輪転(オフ輪)』…が、あります。
 
この2つは、印刷の再現に大きな特徴があり、それが網点の再現。
今回は凸輪の【 網点飛び 】と言われる現象の解説を図解を入れて解りやすく解説していきます。
凸輪のグラデーション再現で失敗しない為に、ぜひ覚えておいてくださいね。
 
今回のテーマは「凸輪のグラデーション」
 

網点飛びに気をつけよう

 
凸輪で印刷すると網点飛びが発生する場合があります。
0%までのグラデーションを凸輪で印刷するのは、避けたほうが無難です。
 

凸輪の「網点飛び」と「ダマリ」とは?

 
最初に覚えておいていただきたいのが【 凸輪 】で印刷する場合
2〜5%以下の網点が再現できないということです。(以下5%以下と表現します)
グラデーションや画像などで5%の網点を使うことがあると思います
 
オフセット印刷の場合には再現可能でも、凸輪の場合は5%の網点は版にならない為
網点が5%を切った時点で『 ブチッと 』網点が無くなってしまいます。
これを【 網点飛び 】と言います。
 
また、凸輪は印刷の圧力(=以下、印圧)をかけて刷りますので、網点が無くなったところが
少し濃くなるという性質があり、これをインキの【 ダマリ 】と言ったりします。
この【 網点飛び 】と【 ダマリ 】が影響して、凸輪でのグラデーション再現にトラブルが発生するのです。
 

カラー4色のグラデーションの仕組み

 
カラー印刷で再現されるグラデーションの仕組みを理解しましょう。
 

 
上図の茶色はシアン42% マゼンタ48% イエロー97% ●ブラック24%の
網点の掛け合わせで再現されています。
 

 
この茶色を100%から0%までのグラデーションで、再現すると下図のようになります。
 

 
オフセット印刷で再現する場合は、このように滑らかで美しいグラデーションが再現され
このときCMYKのそれぞれのインキが、どの様になっているかというと…
 

 
このようにシアンは42%から始まって0%まで、マゼンタは48%から始まって0%までといった具合に
カラー4色が それぞれのパーセンテージから、なだらかにグラデーションされている事が解ります。
 
オフセット印刷では0%〜100%までの網点を なだらかに再現できるため、茶色のグラデーションでも
美しく再現できるのです。
 

凸輪でカラー4色のグラデーションを再現すると…

 
凸輪では、
● 5%以下の網点は再現されないので、5%でブチッと切れる
● 5%を切ったところでダマリができて少し濃くなる
 
この2つの特性をデータ上で再現したのが、下図になります。
 

 
『 注意 』の見てみると、なんということでしょう!? 変な感じになっていますね
なぜこういった現象が起きるのかというと、CMYKのそれぞれ5%を切るところが違うので発生してしまいます。
 

 
これは最初に説明した茶色の数値です。シアン42% マゼンタ48% イエロー97% ●ブラック24%
この数値が100%の部分にあたります。
 
●ブラックは、始まりが24%からスタートしていますので5%を切るところが一番早いです。
ですので、まずはブラック版が無くなります。
 
その後シアンとマゼンタ版が5%を切って無くなり、最後にはイエロー版しか残りません。
その結果、まずはブラックのスジが入り、その後にシアンとマゼンタのスジがついて、最後には茶色ではなく黄色になってしまう。
下図のような印刷結果になるわけですね。
 

 

凸輪で印刷するときの注意事項

 
グラデーションの面積が少ない場合は、それほど目立たない場合もありますが広範囲のグラデーションでは
上記の現象が顕著になり、印刷事故につながる場合がありますので注意しましょう
 
特にカラー印刷の場合は、パーセンテージによっては上記のように途中からグラデーションの色が変わって見える場合も
ありますので要注意です。和紙タックなど印圧を強くしないと色がつかない凹凸のある用紙の場合は
より顕著にダマリが発生しますので、そのような用紙で網点印刷する場合は凸輪印刷は避けてオフ輪で
印刷したほうがよいでしょう。
 
最後に少し補足説明です。
以前は、凸輪の網点は5%で無くなるとされていましたが、最近ではCTP製版という技術の進歩によって
2%までは版として再現できるようになってきました。
昔の凸輪を知る人からしたら、最近の凸輪はオフ輪と見比べても遜色ないと感じているかもしれませんね。
 
しかし2%~0%の網点は版になりませんので、印刷物も2%のところでブツッと切れた境目がわかる印刷仕上がりになることに
変わりはありません。油断せず注意してデータを作ることが重要です。
 
私としては凸輪で印刷する時には、安全を見て5%以下の網点は使わないようにする事をお薦めしています。
また凸輪は印圧を効かして刷りますので、オフセット印刷に比べ同じ網点パーセンテージで刷ったとしても
少し濃い目に刷り上がります。網点飛びが目立つのもオフセットの2%よりも濃い印象で発生してしまうからなのでしょうね。
 
今回は以上です。
 
凸輪で印刷するときには「網点飛び」と「ダマリ」の発生条件に注意して5%以下の網点を使わないように気をつけましょう!
 
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
パッケージ印刷について知りたいネタがございましたら、ぜひ教えてくださいね

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