COLUMN印刷ラボ
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第28回 箱の用途
今回のテーマは「箱の用途」
紙箱の見積を依頼するとき、最初に意識して伝えておくと後ですごく効いてくるポイントが6つあります。
その1つが、そのパッケージの使用用途を書いておくこと。
どのパッケージでも使用用途はあります。
用途ごとに求められるスペックは違いますので、何の為に使うパッケージなのかを最初に共有しておくことは重要です。
なぜ使用用途を最初に伝えておくべきなのでしょうか?
紙箱には忘れてはならない大切な機能は【 中身をお客様へ安全に届けること 】です。
紙箱に商品を入れ、輸送、陳列。
お客様がその商品を目にし購入、ご自宅等へ持ち運び商品を取り出し消費して、紙箱を廃棄する。
紙箱にはそれぞれの工程で、問題が発生しないように【 使える 】ことが求められます。
例えば、最も問題になりやすい工程のひとつである【 輸送 】を考えてみましょう。
商品が問題なく輸送されるためには【 表面の強度 】【 用紙の強度 】【 印刷の適正 】【 梱包のされ方 】【 運び方 】など
様々なスペックが必要な条件を満たしている必要があります。
同じ大きさの紙箱であったとしても、中身が100gなのか1kgのものなのか…で、求められる用紙の厚みが
違います。用紙が薄く紙箱が潰れてしまったりしては大変ですよね。
使用用途を最初に印刷会社に伝えて共有したい理由は、用紙の厚みなどのスペックが用途を満たすものなのかを
検討することができるからです。
使用用途を最初に書いておくメリットは?
見積りをご依頼いただく際、基本的には寸法や用紙のご指示どおりのスペックでお見積りをさせていただきます。
例えば用紙が厚紙400g。
表面加工がニスでしたら、そのとおりでのお見積りをご提出させていただくと思います。
ところが、使用用途に
● 中身に1kの重量のあるドリンクボトルを入れる
● ダンボールに12本を入れて輸送する
…の2つを書いていただいていると話が変わってきます。
【 このスペックでは輸送時の微振動によるスレの問題が気になる 】という重要なポイントが
印刷会社側の経験則によって出てきます。
【 用紙は450〜550g、表面加工もグロスコート以上の強度が推奨されデザイン内容によっては
輸送テストも行った方がいいだろう。】…と、印刷会社側は思うわけです。
ですので、場合によってはお見積りのご依頼をいただいた仕様に加えて、推奨される仕様で別パターンでの
見積提案が受けれるかもしれません。
使用用途を最初にお伝えいただくメリットは
● その使用用途やスペックで、今までに作ったことがあるかどうか
● そのスペックで問題になったことが無いか?
…という、印刷会社の経験した蓄積情報と照らし合わせて検討してもらうことができるところなのです。
使用目的に沿うスペックになっているかの確認方法は?
ただ印刷会社側に実績があったとしても、それがあなたの作りたい紙箱にも当てはまるかどうかは別問題だったりします。
全く同じスペックの紙箱なのに
A社様は問題なく使えるけど、B社様は輸送時にスレが発生し問題になった…ということもありました。
原因は、輸送時に使ったダンボールの設定寸法の違いでした。
【 このスペックでこの用途であれば問題無いはずだ 】というのが、経験による判断ですが
その判断は絶対ではありません。
いつもとは少しでも違うのであれば、決定した紙箱のスペックが本当に大丈夫かどうかを印刷を開始する前に
サンプル品での確認とテストを行うべきです。また、はじめての紙箱であれば必ずサンプル品での確認とテストは
行っておきましょう。
気になることは全部伝えておく
紙箱を作る上で気になることは、何でも全部最初に書き出しておきましょう。
情報が多ければ多いほど、具体的な完成品のイメージが印刷会社側にも伝わります。
そのうちに『 1 』伝えれば『 10 』伝わるといった、関係性を築けていけると思います。
それまでは時間はかかりますが、お互いコミュニケーションをしっかりとって、安心で安全な紙箱づくりを
実現していければと願っています。
今回のお話は以上です。
まとめ
・紙箱の使用用途は最初に伝えておこう
・スペックに問題が無いかを印刷会社にも検討してもらおう
・実際にはテスト品でチェックしよう
パッケージ印刷について、知りたいネタがございましたら
ぜひ 教えてくださいね♪