COLUMN印刷ラボ
印刷ラボ
【第34回】きれいに箔押しをするためのポイント
きれいに箔押しするために知っておきたいポイント
見当ズレを考慮したデザイン編
必ず起こる見当ズレ
箔押し(ホットスタンプ)は、印刷機で印刷した後に機械を変えて作業します。
そのために用紙の伸縮などの影響を受けてしまい、絵柄にズレが生じます。
これを見当(ケントウ)ズレといいます。この見当ズレは必ず生じる現象です。
見当ズレを旨く扱うポイント
より美しい印刷物を仕上げるためには、見当ズレを理解して旨く対応することが重要です。
ここに見当ズレを考慮したデザインとデータ処理の仕方をまとめました。
実際には箔の大きさや位置、面積など様々な要因があります。
このやり方が絶対に正しいとはならないのですが、見当ズレの仕組みを知って対応策を考えていくための
参考にしていただければ嬉しいです。
箔押しは印刷とは別の機械で押すので見当がズレる
例えば、下の画像のような印刷物を作りたいとします。
細かい工程は省きますが、次のような大まかな工程で作業していきます。
① 印刷機で印刷
(オフセット印刷機の動画→こちら)
② 印刷が終わったら乾燥させ箔押し
(箔押し機の動画(2種類あります。)→ こちら と こちら)
※ 機械が変わるのでほんの僅かですがズレが生じます。
印刷用紙は温度や湿度の影響を受けます。
皆さんが体験した事がありそうなものに例えますと、紙に木版画で絵を刷って乾いた後にスタンプを押す…
そういったイメージが近いかと思います。
印刷機を通したあと、箔押し機を通すまでに用紙は伸縮し、できる限りピッタリの位置に箔押しをしようとしても
ドンピシャな位置に合わせることはできません。
具体的には上下左右のいずれかの方向に最大1〜1.5mm程度のズレが発生します。
印刷と箔押しは少しズレるということを前提にデザインすることが重要になります。
箔がズレたら目立つデザイン
半分が印刷で、残りの半分が箔押しといったデザインをしたとします。
このようなデザインですと上下左右どこにずれてもズレが目立ってしまします。
箔と重なる部分に塗り足しを作って横ズレを目立ちにくくする
対策として、箔押しの下に印刷部分を少しだけ伸ばして角は内側に入れます。
箔と印刷を重ねることでズレたとしも白(下地)が見えにくくすることができます。
じゃあ縦ズレの方は?となるかと思います。
こちらに関しましては この横ズレ対策をしていただくことで作業者が細心の注意を払いながら
縦ズレを抑える努力をしていくことになります。
箔押しに白フチのデザインだとズレは目立つ
文字を箔押しで白フチ…といったデザインですと、上下左右どこにずれてもズレがとても目立ってしまいます。
箔押しには「ふちどり」は、特に不向きなデザインです。
逃しを広げて目立ちにくくする
フチをどうしてもつけたい場合には、箔がズレるのを見越して大きめにフチをつけたり
「O」や「A」「P」などにできる島をを取り除くことでズレを目立ちにくくすることができます。
上下左右に逃げ場のデザインの場合は、1mm箔がズレたら
どういった見た目になるかをIllustrator上で確認してみることをオススメします。
見当がズレても目立たないデザインのポイント
見えない部分はズレてもイイように塗り足します。
例としてHOTというロゴで下が途切れたデザインを用意しました。
分解するとこんな感じです↓
このデザインも上下左右どこにずれてもズレが目立ってしまいます。
ズレることを想定して箔押しの下になる部分は塗りつぶしておくと安心です。
ただし「箔がズレたら目立つデザイン」の例と逆で、このデザインの場合は下に塗り足した部分が出てしまうと
目立ってしまいますので、ほんの少しだけ内側に塗り足しを入れておくことで塗り足しが出ずに済みます。
見えない部分に関しては版を出力する前に弊社で処理することが多いのですが
やはり見える部分に関しては、発注されるお客様がいちばん気にされる部分かと思います。
デザインの段階で分からない場合にはご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
パッケージ印刷について知りたいネタ等ございましたら、ぜひ教えてくださいね