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第32回 『フトラシ』〜その2〜
特色で印刷するときに必ず必要になるデータ処理があります
それが【 太らし 】みなさんはご存知でしょうか?
太らし とは印刷業界の用語で、一般的な言葉ではないと思いますのでカタカタ表記しますね。太らし=以下『フトラシ』
これは特色で印刷するときのデータ処理の仕方です。
この処理ができないと特色で印刷した時に、かなり残念な印刷結果になってしまいます。
今回は そんな『フトラシ』の理屈を知っていただくことで、より思い通りの印刷結果を得るために
役立てていただけると思います。
このブログはシリーズブログの2回目。1回目の記事はこちらからご覧くださいね。
今回のテーマは「フトラシ」その②
太らす色を間違うと印刷物に悪影響がでる
フトラシをする時に、太らす色を適当に決めていませんか?
フトラシをすると【 ノセる色 】と【 ノセられる色 】ができます。
この選択を間違うと印刷物に悪影響が出てしまい、あなたの求める結果にならない場合があります。
「ノセ」と「ヌキ」を理解しよう!
フトラシは版のズレが発生するところに色を【 ノセる 】ことで、版ズレを目立たなくさせる版作成技法です。
【 ノセる 】状態を理解する為には、まず【 ノセ 】と【 ヌキ 】を理解しましょう。
【 ノセ 】は、下の色に対して上の色を重ねて印刷します。【 ヌキ 】は、下の色に対して上の色を抜いて印刷します。
図で見て解るように【 ノセ 】で刷った方は、マゼンタで印刷している【 楽しい印刷 】という文字が
下地のシアンの影響をうけて紫色になりました。【 ノセ 】は、上の色が下の色の影響を受けてしまいます。
逆に【 ヌキ 】の場合は、下の色を白く抜いていますので影響を受けず、マゼンタのまま印刷されます。
これが【 ノセ 】と【 ヌキ 】の違いです。
【 ノセる 】【 ノセられる 】って何?
次の図はシアンのベタに対して、マゼンタをノセで印刷しています。
『 シアンの上にマゼンタが乗っかっている 』というイメージです。
上に乗ったマゼンタは、下地であるシアンを影響を受けて紫色に変色します。
このように上に乗せる色は、下地の影響を受けるということを理解して
太らす色を間違えないようにしましょう
以上を踏まえて今回の本題です。
太らす色はどっちが正解でしょう?というクイズです。
このような色味の印刷物を作りたい時、フトラシは『 A 』と『 B 』どちらが正解でしょうか?
それでは答え合わせ
『 A 』と『 B 』で、印刷するとそれぞれどうなるか?実際に見てみましょう!
まずは『 A 』
青色に対してピンク色を太らしています。
青色にピンクが載ったところが少し濃くなりますが、遠目に見るとわかりにくいですね。
次に『 B 』
こちらはピンクに対して青色を太らしています。
ピンク色よりも青色の方が濃いため、文字が細ってしまい読めなくなってしまいました。
…ということで、太らし方の正解は【 A 】でした。
このようにフトラシをする時には、どちらの色の方が濃いのかを考慮しましょう。
そして出来上がりの印刷物が、よりイメージに沿うものになるように適切な方の色を太らすことが大切
今回の例題のように濃い色と薄い色の場合は、薄い色の方を濃い色に対してフトラシすれば、概ね大丈夫です。
問題なのは、どっちの色も同じくらいの濃さのときで、この場合はフトラシをすると枠ができたようになって
うまくいかない場合があります。
そのような時には版ズレをとるか…枠ができるのをヨシとするか…
それとも、それを考慮してデザインを再検討するか…と、選択を迫られます。
いずれにしても印刷する前に、印刷物の出来上がりをイメージする事はデザインを進める上でとても重要です。
フトラシ… 今日から、ちょっと意識してみてくださいね
今回は以上です
・【 フトラシ 】をする時には、どっちの色を太らすかをしっかり考慮しよう
・ 出来上がりをイメージして、最適なフトラシを付けよう
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最後まで読んでいただきありがとうございます。
パッケージ印刷について知りたい事がございましたら、ご連絡ください。
では、また