COLUMN印刷ラボ
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第20回 たくさん作れば安くなる理由
今回のテーマは『 数量 』
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紙箱の見積りをするために、まず絶対必要な情報が5つあります。
その一つが「 数量 」どのくらいの数量を注文するかは大きくコストに影響する重要な情報です。
どうして数が増えると安くなるの?
「 たくさん印刷したらその分安くなりますよ 」これは印刷業界の常識として長く言われ続けてきました。
印刷物を業者さんに頼んで作ったことがある方は、印刷会社の人からこのように言われたことは無いですか?
『このロット(数量)で印刷するのも1000枚印刷するのも合計金額は変わりませんよ』とか
『この数量ではお請けできません。最低ロットは1000枚からですよ』とか…
まずそれは最低料金設定が原因です。最低料金設定とは印刷機が印刷可能になるための時間を費用に加算する仕組みです。
いわゆる作業効率の差ですね。印刷物を作るときにはたくさんの印刷機や加工機を使います。機械はスイッチを押せば
すぐに作業を開始してくれるわけではなくて、ひとつひとつの印刷物に合わせて調整して準備をする必要があります。
例えば、印刷物を打ち抜きする機械の場合、打ち抜き開始のスイッチを押すまでに60分くらいの準備時間がかかるとします。
機械の作業スピードが1時間あたり3,000枚生産できるスピードで回すとしたら、作業終了までの時間はどうなるでしょうか?
(作業時間例)
500枚の印刷物の場合 | → | 準備時間 60分 | + | 作業時間 10分 | = | 合計 70分 |
---|---|---|---|---|---|---|
1000枚の印刷物の場合 | → | 準備時間 60分 | + | 作業時間 20分 | = | 合計 80分 |
3000枚の印刷物の場合 | → | 準備時間 60分 | + | 作業時間 60分 | = | 合計 120分 |
500枚つくるのと1000枚つくるのは10分しか時間が変わらないということになり1000枚以下は合計金額が
変わらないということが起きるわけです。印刷会社さんによっては500枚つくっても1000枚つくっても合計金額は
同じだから最低注文は1000枚からにしてくださいと言われていたところもありました。
しかし最近は少し考え方が変わってきています。
小ロット印刷に適した『オンデマンド印刷機』が普及してきたため
数量が少ない = オンデマンド印刷という選択肢が増えました
オンデマンド印刷は、必要なときに必要な量をつくる印刷方法です。
デジタル印刷機を使うことで刷版や準備時間を省略できるので小ロット印刷の生産効率が上がりました。
弊社でもデジタル印刷機を3台導入しています。
先ほどと同様にオフセット印刷とオンデマンド印刷を比較してみましょう。
オフセット印刷機 (印刷スピード 1時間に10,000枚印刷できる場合)
1枚印刷する場合 | → | 準備時間30分 | + | 作業時間0.36秒 | = | 30分と0.36秒 |
---|---|---|---|---|---|---|
100枚の印刷物の場合 | → | 準備時間 30分 | + | 作業時間 36秒 | = | 30分と36秒 |
500枚の印刷物の場合 | → | 準備時間 30分 | + | 作業時間 3分 | = | 33分 |
1000枚の印刷物の場合 | → | 準備時間 30分 | + | 作業時間 6分 | = | 36分 |
10000枚の印刷物の場合 | → | 準備時間 30分 | + | 作業時間 60分 | = | 90分 |
オンデマンド印刷機(印刷スピード 1時間に1,200枚印刷できる場合)
1枚印刷する場合 | → | 準備時間10分 | + | 作業時間20秒 | = | 10分と20秒 |
---|---|---|---|---|---|---|
100枚の印刷物の場合 | → | 準備時間 10分 | + | 作業時間 3分33秒 | = | 13分と33秒 |
500枚の印刷物の場合 | → | 準備時間 10分 | + | 作業時間 25分 | = | 33分 |
1000枚の印刷物の場合 | → | 準備時間 10分 | + | 作業時間 50分 | = | 60分 |
10000枚の印刷物の場合 | → | 準備時間 10分 | + | 作業時間 500分 | = | 510分 |
※ 比較のために作業時間や生産スピードはだいたいのイメージの数値にしています。
いかがですか?
オフセット印刷機の方を見てもらうと1枚刷るのと1000枚刷るのに時間差はわずか6分。
しかし1枚刷るだけで30分以上の時間がかかっています。
オンデマンド印刷の場合は、500枚刷るよりも1枚刷る方が25分以上時間が短縮されています。
これがオンデマンド印刷の最大のメリットで、オフセット印刷では1000枚以下は値段が変わらないとされていたところが
オンデマンド印刷では500枚以下でも値段が下がっていく仕組みです。
オンデマンド印刷でいけるかどうかは仕様によって判断しましょう
では単純に500枚以下だったらオンデマンド印刷を選んでいいの?というかというと、そう簡単な話ではなく
オンデマンド印刷とオフセット印刷には様々な違いがあるので、求める品質を満たさない場合もあります。
■ この仕様であればオンデマンド印刷で大丈夫
■ この仕様はオフセット印刷にしてロットを増やそう
■ この場合はオンデマンド印刷で初回は小ロットでスタートして
■ 2回目からオフセットにしてコストを下げる手段を選ぼう
といったそれぞれの商品の方向性や販売方法、販売単価設定などを総合的に判断して選んでいく必要があり
仕様を細かく書いていただくことで印刷会社側でもいろんなご提案ができるようになります。
その作りたい紙箱に求める情報をぜひ細かく教えてくださいね。
いかがでしたでしょうか?
数量が下がると単価が上がるから、ついたくさん作ってしまい資材が無駄になったりすると環境にも良くないし
経済的にももったいないですよね。
あなたのパッケージにとって最適なロット、仕様で生産してエコでみんなが幸せになるロットを
ぜひ探ってみてくださいね。
わからないところはご質問いただければ調べてご回答します!
どんどんお寄せくださいね。
それではまとめです
・数が増えると安くなるのは生産効率が原因
・数が少ない場合はオンデマンド印刷も選択肢
・本当にあなたの紙箱に適した印刷方法を相談