COLUMN印刷ラボ
用紙
紙の質感でデザインが変わる。マーメイドというファンシーペーパーの魅力
印刷用ファンシーペーパーの中でも、長く愛され続けている定番銘柄のひとつが「マーメイド」です。竹尾が製造・販売するこの紙は、表面の独特な凹凸と豊富なカラーバリエーションで、デザイナーから印刷現場まで幅広く支持されています。
マーメイド最大の特徴は、その柔らかく波打つようなテクスチャーです。表面の凹凸は製紙工程の中で「フェルト」と呼ばれる布を使い、その模様を紙に転写することで生まれます。人工的なエンボスではなく、紙をすくときにできる自然な布目の跡を活かしているため、ひとつひとつの表情にわずかな揺らぎがあり、触ったときに“やさしい手ざわり”を感じることができます。
この紙のもうひとつの大きな特徴が、全60色におよぶ豊富なカラーバリエーションと、厚口まで揃ったラインナップです。四六判Y目で110kg・153kg・240kgの3連量が基本展開となっており、特に240kgという厚みは、名刺やタグ、小型パッケージなどにも十分対応できる強度を持っています。白系の色味はさらに幅広い厚さが用意されており、作品や商品に合わせた最適な選択が可能です。

また、マーメイドは2022年に240kgの厚口タイプがFSC認証紙となりました。環境配慮が求められる商品やブランドにおいても安心して使用できる、サステナブルなファンシーペーパーとして進化しています。
印刷適性については、非塗工紙のためインキがやや吸い込む傾向にあります。紙の地色や質感を活かすデザインが最も相性が良く、ベタ面を多く使うよりも、ロゴやワンポイント印刷で構成したデザインの方が紙の風合いが引き立ちます。また、箔押しや空押しとの組み合わせは特に効果的で、凹凸のある表面に光が柔らかく反射し、上質で落ち着いた印象を与えます。
色の選定にあたっては、照明環境や紙ロットによる微妙な色差を考慮することが重要です。マーメイドは自然なトーンの色が多いため、昼光色・電球色など異なる光源下で見比べると印象が変化します。デザイン段階で実物チップを確認し、使用環境に近い条件で色味を決めることをおすすめします。
大洋印刷でも、マーメイドを使用した各種サンプルや見本帳をミーティングルームに常設しています。紙の質感や厚みを実際に手に取りながら、印刷や加工の仕上がりを比較していただくことが可能です。実際に触れてみると、マーメイドが“紙そのものをデザインの一部にできる素材”であることを実感していただけるはずです。
紙を選ぶ段階から、デザインは始まっています。マーメイドは、デザインに温度と奥行きを加える紙。パッケージやカード、タグなど、あなたのブランドをやさしく支える素材として、ぜひ検討してみてください。
更新:2025/11/06 執筆:福富康一(福ちゃん)





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