COLUMN印刷ラボ
用紙
クラフト系の紙箱を検討するなら ― 大和板紙の見本帳から始めてみませんか
執筆 福富康一(福ちゃん) 2025/11/27
自然の温もりのある紙で特別な紙箱をつくってみませんか?
パッケージを企画する際、「自然な風合いのクラフト紙を使って箱を作りたい」というご相談をいただくことが増えてきました。クラフト系の紙は、ナチュラルさや温もりを表現できる点で非常に魅力的です。しかし一方で、素材特有の性質を理解した上で選定しないと「思った仕上がりにならなかった」という結果につながることもあります。今回は、大洋印刷で実際にご提案している紙種や、クラフト紙を用いる際の注意点を整理し、安心してご検討いただけるように解説いたします。
紙箱に使われる「板紙」の種類
紙箱を作る際に用いる厚紙は「板紙」と呼ばれます。板紙と一口に言っても多様で、大きく分けると以下のような特徴があります。
- 裏面がグレーの紙
最も流通量が多く、価格が安価なためコストを抑えたいときに適しています。 - 裏面が白い紙
高級感を持たせたい商品に選ばれることが多く、裏面まで見せ場にできる仕様です。 - 両面に印刷できる紙
デザイン性を重視する場合に最適で、表裏ともに美しい仕上がりが得られます。
大洋印刷では、具体的に以下の板紙をよくご提案しています。
- 「MCボール」「OKボール」など裏グレー系板紙
- 「ジェットエース」など裏白系の特殊板紙
- 「アイベスト」など高級板紙
これらはクラフト系以外の定番ですが、まず基準となる紙種を理解していただくと、クラフトとの比較検討がしやすくなります。
クラフト系板紙に強い「大和板紙」
クラフトの質感を求める際におすすめなのが、大和板紙のクラフトシリーズです。
大和板紙の見本帳には、濃い茶色のクラフトから、やや明るめのナチュラルクラフト、さらには赤や青、緑などの色付きクラフトまで、多様なラインナップが収録されています。厚みの違いも揃っているため、実際の用途に合わせて選択が可能です。
大洋印刷では大和板紙の見本帳を常備しており、実際に手にとって比較していただくことができます。ご希望に応じて貸し出しも可能で、在庫があればすぐにお届けできます。また、有料にはなりますが、サンプルカットを作成して実際のパッケージ形状を確認することも可能です。箱として立体になった状態で中身を入れてみると、素材の風合いや色味がどのように見えるのかを具体的にイメージでき、安心して本生産に進めることができます。
クラフト紙の特性と注意点
クラフト系板紙は魅力的である一方、他の板紙とは異なる性質を持っています。以下の点を事前に理解しておくことで、失敗を防ぐことができます。
- 色調の変動
クラフト紙は古紙を多く含むため、製造ロットごとに色味が微妙に異なります。同じ銘柄のクラフト紙であっても「前回と全く同じ色を再現する」ことは困難です。この点を理解した上で採用すれば、想定外の違和感を避けられます。 - 異物(チリ)の混入
紙の特性上、繊維や混ざり物が表面に見える場合があります。一般的な板紙では不具合とみなされるものですが、クラフト紙に関しては“味”として受け止められる部分です。もし見え方が気になる場合は、実物サンプルで事前に確認していただくことをおすすめします。 - 印刷適性
クラフト紙の表面はコート紙のように平滑ではなく、インクが沈み込むため、発色はマットで落ち着いた仕上がりになります。鮮やかな発色や光沢を求める用途には適していません。また、表面加工(光沢PPやマットPP)を施しても、クラフト特有の質感は完全には隠れません。むしろ自然な風合いを活かすデザインが効果的です。 - 加工上の制約
黒や紺、深緑といった濃色クラフトは、印刷・打ち抜きの際に機械センサーが紙を検知しないものがあります。そのため、サイズや形状に制限がかかる場合があります。事前に加工テストを行い、問題の有無を確認することが重要です。
まとめ
クラフト紙を使った紙箱は、ナチュラルで温もりのあるブランドイメージを表現するのに最適です。ただし「ロットごとの色の違い」「表面に見えるチリ」「印刷仕上がりの特性」など、クラフトならではの性質を理解して選ぶことが成功のポイントとなります。
大洋印刷では、大和板紙の見本帳を常備し、サンプルカットの作成や実物検証を通じて、最適な紙選びをサポートしています。クラフト紙を使ったパッケージをご検討中の方は、ぜひ一度ご相談ください。専門スタッフが丁寧に対応し、安心して本生産に進めるようにお手伝いさせていただきます。
クラフト紙の素朴な味わいが、あなたの商品価値をより高めるパッケージとなることを願っています。





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