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浮き出し加工で魅せる!印象的な印刷物の作り方

印刷物に高級感や特別感を加えたいとき、注目されるのが「浮き出し加工(エンボス加工)」。紙の表面を立体的に浮かび上がらせることで、視覚的なインパクトだけでなく、触覚による印象も強く残ります。
現在、リアルな質感や開封体験が見直されており、浮き出し加工はブランドの“こだわり”を表現する手法として再注目されています。
浮き出し加工とは?

浮き出し加工(エンボス加工)は、金属の凸型と凹型の版で紙を挟み、圧を加えて紙面を立体的に変形させる技術です。
● 主な種類:
- エンボス:紙を盛り上げる浮き出し加工
- デボス:紙をへこませる沈み込み加工
● 特徴:
- インクがなくても立体的な表現が可能
- 高級感、手触り、特別感の演出に効果的
- 箔押しやニス加工との組み合わせでさらに目を引く
活用されているシーンと効果

浮き出し加工は、印刷物の中でも特別な存在感を放つ要素です。近年では以下のようなシーンで広く利用されています。
活用例:
- 高級スイーツの外箱:ブランドロゴや模様を浮き出して上質さを表現
- アクセサリーボックス:ギフト感と高級感を演出
- アパレルのタグ:ブランドイメージの統一感を出す
- DMや招待状:手に取った瞬間の「ワクワク感」を刺激
最近では、「SNS映え」や「開封動画」でも話題性を高める手法として注目されています。見た目だけでなく、指先の感覚も記憶に残すため、ブランド体験の向上にも直結します。
取り入れるための実践ポイント

(1) デザインの線は太く、シンプルに
細かすぎる線や模様は圧が伝わりにくく、仕上がりがぼやけることも。ある程度の面積とシンプルさが効果的です。
(2) 用紙選びは厚め・硬めが基本
マット系や厚紙など、加工の凹凸が明確に出やすい紙を選ぶことで、仕上がりの立体感が際立ちます。リサイクル紙でも加工可能なものが増えており、環境配慮のニーズにも対応できます。
(3) 箔押しとの相性は抜群
とくにロゴやタイトル部分に「金・銀箔 × 浮き出し」を組み合わせると、一気にプレミアム感が高まります。実際に、ギフト系商品のパッケージでこの加工の採用率は増加傾向にあります。
(4) 試作・サンプル制作は必須
紙の種類や天候、圧力によって仕上がりが異なるため、本番前の試作で細かい調整を行いましょう。
浮き出し加工が選ばれる理由

(1) 触覚マーケティングの注目
リアルな“手触り”によって、視覚情報が中心のデジタル広告とは異なるアプローチが可能です。たとえば、ラグジュアリーブランドのパッケージでは「触れることで価値を感じさせる」戦略が多く採用されています。
(2) 環境配慮との両立
従来はプラスチック加工と比較して高級感演出に不利と思われがちでしたが、現在では再生紙やFSC認証紙にも対応したエンボス加工が普及し、サステナブルと高級感の両立が実現されています。
(3) SNSシェアで話題性UP
InstagramやTikTokなどでの「開封動画」では、凹凸のあるパッケージが動画映えし、視聴者に強い印象を与えます。視覚と音(パッケージを触る音)の両方でユーザーの記憶に残すことができます。
(4) 感情的なブランド体験の創出
五感に訴える仕掛けとして、浮き出し加工は“記憶に残るブランド体験”を創出する力を持ちます。特に高単価な商品では、ユーザーの感情的な満足度が購買行動に与える影響が大きいため、印象的なパッケージはリピーター獲得にも貢献します。
まとめ
浮き出し加工は、印刷にひと工夫を加えるだけで、見る・触れる・覚えるという体験すべてに訴える強力なデザインツールです。
時代の変化とともに、見た目の良さだけでなく「感じる価値」に注目が集まる今、紙・デザイン・加工の融合であなたの商品をワンランクアップさせてみませんか?