COLUMN印刷ラボ
コラム
パッケージの発色が違う!特色インキとプロセスインキの使い分け

「このパッケージの色、鮮やかで目を引く!」
商品のパッケージデザインにおいて、発色の美しさは購買意欲を左右する大きな要素です。特に、ブランドカラーを正確に再現したい場合や、高級感を演出したいときには、「特色インキ」や「プロセスインキ」の選択が重要になります。
しかし、近年は環境への配慮や印刷技術の進化により、特色インキの使用が減少しつつあり、代替技術として「擬似特色」やデジタル印刷が注目されています。本記事では、特色インキとプロセスインキの基本、最新の技術動向、環境配慮の観点からの選択肢について詳しく解説します。
特色インキとプロセスインキの基本

(1) 特色インキとは?
特色インキ(スポットカラー)は、特定の色を調合して作られたインキで、印刷するたびに一貫した色合いを再現できます。
【メリット】
● ブランドカラーの再現性が高い
● メタリックや蛍光色などの特殊な色が可能
● 大面積の印刷でも色ムラが少ない
【デメリット】
● 1色ごとに専用のインキを用意するためコストが高い
● 多色印刷の場合、工程が増え時間がかかる

(2) プロセスインキとは?
プロセスインキ(プロセスカラー)は、CMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)の4色を組み合わせて色を表現する方式です。
【メリット】
● フルカラー印刷が可能
● 色数が増えてもコストが抑えられる
● 写真やグラデーションの表現が得意
【デメリット】
● 色の正確な再現が難しく、ブランドカラーの統一が困難
● 色ムラが発生しやすい
環境負荷低減への取り組

近年、印刷業界では環境負荷の低減が求められており、特色インキの使用を見直す動きがあります。
(1) 特色インキの使用削減
武田薬品工業は2024年1月、二次包装の印刷を特色インキからCMYKインキに切り替え、インキや溶剤の使用量を削減。これにより、インクの使用量と廃棄量、印刷機の洗浄に使用する溶剤の使用量と廃棄量を削減することで、環境負荷の低減を促進しています。
参照元:武田薬品、二次包装印刷をCMYKインクに変更。環境負荷低減へ
(2) 擬似特色技術の導入
「擬似特色」とは、プロセスインキの組み合わせによって特色を再現する技術です。これにより、特色インキを使用せずにブランドカラーを表現でき、コスト削減と環境配慮の両方を実現可能です。
【メリット】
● 特色インキのような発色を維持しながら、印刷コストを抑えられる
● 印刷工程の効率化により、納期短縮が可能
【デメリット】
● 一部の色(メタリックや蛍光色)は完全に再現できない
(3) デジタル印刷技術の進化
インクジェット技術の進化により、従来のオフセット印刷では難しかった微細なグラデーションやカラーバリエーションの豊富な印刷が可能になっています。
● 印刷機ごとの色差が少なく、再現性が向上
● 小ロット印刷が可能で、廃棄を減らせる
● インキの使用量が減少し、環境負荷を抑えられる
どんな時に特色インキとプロセスインキを使い分けるべき?

(1) ブランドロゴやCIカラーの再現
ブランドカラーの厳密な再現が求められる場合、特色インキが適しています。ただし、最近では擬似特色の技術が進化しているため、CMYKでもブランドカラーに近い色を表現できる場合があります。
(2) 写真やグラデーションを含むデザイン
食品パッケージや雑誌のカバーなど、写真や複雑なデザインが求められる場合、プロセスインキが適しています。特にデジタル印刷を活用すると、より自然な色合いの再現が可能です。
(3) コストと納期を重視する場合
印刷コストを抑えたい場合や、納期を短縮したい場合は、プロセスインキが向いています。また、小ロット対応が必要な場合はデジタル印刷との併用も検討できます。
まとめ
✔ 特色インキはブランドカラーの正確な再現に適しているが、コストが高い
✔ プロセスインキはフルカラー表現に向いており、コストが抑えられる
✔ 環境負荷低減のため、擬似特色技術やデジタル印刷が進化している
✔ 用途に応じて適切なインキの選択が必要であり、新技術の活用も視野に入れるべき
印刷業界のトレンドを踏まえながら、環境に優しく、コストパフォーマンスの高いパッケージデザインを実現するための選択を行いましょう!