COLUMN印刷ラボ
コラム
オフセット印刷とオンデマンド印刷 それぞれの特長やデメリットとは?
オフセット印刷とオンデマンド印刷には、それぞれに独自の特長やデメリットが存在します。
今回はこれらの印刷方法をどのような基準で選ぶべきか、異なる観点からご紹介します。
♦そもそもオフセット印刷とオンデマンド印刷のちがいとは? 異なる印刷プロセス
オフセット印刷とは、”版を使用した印刷方法”のこと
オフセット印刷の版は薄いアルミ版でできていてインクが付く部分、つかない部分で構成されています。
印刷時にはアルミ板をぐるっと円柱状に丸めて、表面にインクを流し、そのインクを一度柔らかなゴム板へと移します。
ゴム板からさらに紙へとスタンプのようにインクを載せることで一色分の印刷が完了します。
アルミ板からゴム版へインクに転写(離す)ことをオフ(off)、ゴム版から紙にインクを印刷することをセット(set)、合わせてオフセット(off set)と呼ばれています。
フルカラー印刷の場合、CMYK4色分それぞれの版で、この工程が4回繰り返されます。
インクを載せたあと、インクが完全に乾くのをまつ工程があります。
もともとは、新聞紙やチラシなど大量に印刷するために開発された技術です。
オンデマンド印刷とは、”高速デジタル印刷機による印刷方法”のこと
オンデマンド印刷機器が入稿データの色の配分を判断し、静電気により絵を描きトナーを定着させ、紙へ印字します。
名称の”オンデマンド(on demand)”は”要求に応じて”という意味で、即座に印刷が可能できることが特長です。
♦どちらがお得?印刷物の量によって異なる
高い印刷速度と大量生産の能力ならオフセット印刷
- 印刷を始めるまでの調整作業により初期設定コストがかかる
- 大量生産時には印刷単位あたりのコストが低くなる
- 数百~数千以上の大部数を高速で印刷できる
- CMYKごとに版を作る必要がある
- 大量印刷により在庫を抱える可能性も
少部数で低コストにおさえるならオンデマンド印刷
- 初期コストがかからない
- 1部から100部ほどの少部数での印刷に適している
- 需要に応じて印刷できる(在庫を最小限に抑えられる)
- 仕上がりまでの時間が短く急な需要に対応可能
- 1部当たり何円といったような単純計算で値段が上がる
- 部数に比例した金額になるため、部数が多いとかえって割高になる可能性も
♦印刷物のクオリティにこだわりたいならオフセット印刷
高品質かつ高精細な印刷ならオフセット印刷
- 質感や色味などの細かい表現、高画質な写真の再現性がある
- ベタ塗りにおける色の均一さや一粒一粒のキメの細かさが表現できる
- カタログ、雑誌、パンフレット、チラシ、カレンダー、ポスター、書籍などに適している
色の再現に制約があるオンデマンド印刷
- オフセット印刷に比べて繊細な表現は不得意
- 着色部分がテカリやすい
- 印刷面に凹凸が発生して質感が消えやすい
- 線やフォントが太くなりやすいなど
- 文字やグラフ情報がメインの冊子、会社資料など鑑賞目的ではない印刷物の場合に適している
♦デザインの柔軟性ならオンデマンド印刷
1部ごとにデザインを変えたい場合も変更が容易で、個別の要件に合わせてカスタマイズが可能です。
- 一枚一枚日付や数字が異なるチケット
- 宛先が異なるダイレクトメール など
♦まとめ
オフセット印刷が適している場合
- 大量生産
- 高品質
オンデマンド印刷が適している場合
- 少部数
- 短納期
- 1部ごとにデザインを変えたい
どちらの印刷方法が適しているかは、印刷物の種類や生産量、納期や目的などによって異なります。
百年以上の長い歴史をもつオフセット印刷に比べて、
オンデマンド印刷は30年程度というまだ短い歴史しかありません。
ただ、オンデマンド印刷は近年急激に進化し、将来的にもクオリティの向上が期待されています。