COLUMN印刷ラボ
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第22回 百聞は一見にしかず
今回のテーマは『デザインデータ』
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紙箱の見積りを依頼するときに悲しいすれ違いを無くすコツが2つあって、その一つが
「デザインデータ」を添付することです。
デザインデータは、あなたの作りたい印刷物そのもの。
印刷会社に共有することで驚くほどスムーズな意思疎通が期待できます。
デザインデータで何を伝えることができるの?
想像してみてください。
あなたの大好きな推理小説がドラマ化されることになりました。
お気に入りの【名探偵】は どういった『姿』で『身長』や『髪型』『声』はどんな感じで…と
あなたの中で完全にイメージされています。
早速キービジュアルのポスターが発表され、その探偵を演じている役者さんの姿を見たときに
『 あれっ?思ってたんとちがう… 』と思ったことありませんか?
この『 思ってたんとちがう 』という感覚。
印刷物も同じで『 あれっ?想像していた印刷内容と違う 』とデータを
入稿いただいたときに感じることがよくあります。
想定の範囲内であれば全く問題ないのですが…
・この印刷内容だとインキ代が高くなりすぎてコストが変わる
・ケントウズレが気になるデザインになっているけど 納期が無いから修正する時間がとれない
・箔押しのサイズが見積したときよりも大きくなっていてコストが変わってしまう
…など、コストや品質に関わる問題が後から出てくると困りますよね。
この『 思ってたんと違う 』= 情報共有不足 による すれ違いを防ぐためにとっても有効な方法が
デザインデータを見積り依頼のときに添付しておくという方法です。
文字だけの情報とは違いデザインデータは、先程のたとえ話にあったキービジュアルのポスターのようなもので
とても多くの情報を印刷会社に伝えることができます。
印刷会社はデザインデータがあれば、次のような情報を読み取ることができます。
・あなたの作りたい印刷物がどんなものなのかを明確に共有
・あなたの紙箱を作る上での求めている要望を把握
・あなたの経験値を把握し必要なサポート
・求められた仕様で再現可能な内容なのかを判断
・再現が難しければ具体的に それがどの部分なのかをお伝えできます
デザインデータはあなたの作りたい紙箱そのものですよね。まだデザインの途中であっても全然かまいません。
『現状はこのようなイメージで考えていますが変わるかもしれません』と一言添えていただいて
デザイン途中のデータを添付していただくだけで、あなたの求めている印刷物の具体的なイメージが共有できます。
印刷物を作るということは、まだ世の中のどこにも無いものを新たに生み出すということ
しかし、あなたの頭の中にだけある素晴らしいアイデアを、他の人が共有することはとても難しいことなのです。
福富も印刷ディレクターの仕事を20年続けてきて一番苦労しているのは、お客様とどうやって印刷物の
完成した姿を共有するのかということで、共有できているつもりで作って最終的に出来上がった印刷物が
「思ってたのと違う」と言われたときは、何度も『どこが まずかったのだろう?』と
自問自答してきました。
お見積りのご依頼のときに、もしも完成品のデザインイメージだけでもあれば全くのゼロから見積を
スタートするのとは雲泥の差があります。あなたの作りたい印刷物のイメージを具体的に印刷会社と
共有するために途中でも結構ですので、ぜひデザインデータを添付していただければと思います。
添付するデザインデータの形式は?
デザインデータは【どのような完成品にしたいか?】が伝わるものであれば、形式は特には関係ありません。
もしもAdobe Illustratorで作成されたのであれば Illustratorから作成したアウトライン済みの
PDFデータを添付していただければ実寸データでの確認ができますので、線の太さなど細かな数値も
確認できてより安心だと思います。
ただ見積り段階では、まだ最終入稿データでは無いでしょうから細かい数値的なチェックを行うと
いうよりもあなたが作りたいものの具体的な完成イメージが伝わることのほうが重要です。
細かなデータチェックは、見積りがOKになって実際の入稿データをいただいてからじっくりさせて
いただきますので、ご安心ください。
デザインデータに付けておいた方がいい情報はデザインデータだけでも十分ですが、もし可能なら
この3つも記載していただけるとより詳しく仕様が伝わるのでGoodです。
・刷り色を伝える「色玉」をつけておく
・【 実寸データ 】であること
・要望やこだわりたい点など「補足情報」を書いておく
刷色が何色なのか? 特色や箔押しを使う場合はどの箇所なのか? を伝えるための目印が【 色玉 】
一般的には刷り色を示すベタの中に刷り色名を書いて、何色で印刷するかを表現します。
この色玉を見て、印刷会社は…
『この部分を この色で刷って画面上ではこんな風に見えているけれど、実際にはこんな感じの色合いで
仕上げたいと思っておられるのだな』と脳内でイメージ変換して、長年の経験とカンで完成品を想像します。
デザインデータが【 実寸データ 】であれば、より良いですね。
よく縮小されたデータでいただくことがあるのですが、それだと完成品イメージが少しブレてしまいます。
実際の印刷物になったときに『この線は細すぎて再現が厳しそうだ』とか『この白抜き文字は細すぎて潰れそう』といった
きわどい危険な表現を察知する経験値センサーが働かない場合があります。
また、補足情報として
・ここの表現は絶対○○な感じにしたい!
・この白抜きが綺麗に出るか不安
・ここはこういう表現と こういう表現どっちがいいか迷ってる
といった再現について、あなたが不安に思うことやアドバイスが欲しいところなどを、具体的に
補足していただいていればとてもいいと思います。
あなたが不安なところや こだわっているポイントが共有できれば、より要望に迫ったかたちでの
提案ができると思います。
福富は、みなさんのこだわりをお聞きするの大好きです。
それではまとめです
・見積もり依頼のときにデザインデータを添付しよう
・データは途中のものでOK
・データ形式は伝われば何でもOK
・あなたのこだわりをしっかり伝える
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