COLUMN印刷ラボ
コラム
【破けにくく開封しやすい!】驚きの技術で実現する商品パッケージ印刷 ミシン加工・リード罫加工・ジッパー加工とは
商品パッケージの箱を開ける瞬間、『ぱりぱり…』という心地よい音とともに、中の商品がスムーズに姿を現す――この体験には、実は紙加工における高度な技術が隠されていることをご存じでしょうか?
今回の記事では、広島西条を拠点に商品パッケージづくりを60年以上続けてきた大洋印刷株式会社が、この『ぱりぱり…』というスムーズな開封を実現する商品パッケージの秘密と、その裏にある紙加工技術についてご紹介します。
目次
- ・ミシン加工、リード罫加工、ジッパー加工とは
- ・ミシン加工、リード罫加工、ジッパー加工の役割
- ・ミシン加工、リード罫加工、ジッパー加工が使用されている例
- ・どの工程で紙加工が施されている?
- ・これらの紙加工が使われるようになった理由
- ・ミシン加工、リード罫加工、ジッパー加工技術力が与える影響
- ・まとめ
この記事は以下のような方を対象としています
- ・パッケージデザインに関わるデザイナーの方
- ・商品パッケージの企画に関わる企業のマーケティング担当者の方
ミシン加工、リード罫加工、ジッパー加工とは
- ・ミシン加工:商品パッケージに施される折り用・破り用の加工のこと。化粧箱や袋などの開け口に見られる点線状の切り込み加工のことです。
- ・リード罫加工:商品パッケージに施される折り用の加工のこと。箱の組み立てを補助する加工のことです。
- ・ジッパー加工:商品パッケージに施される破り用(開封)の加工のこと。パッケージを開けやすくするための加工のことです。
◎リード罫加工とミシン加工のちがい
リード罫加工とは 紙を折りやすくするために用いられる紙加工法です。「リード罫」とは、短いカット線と短い折れ線(罫線)を交互に配置した線のことを指します。「ミシン目」と「リード罫」の違いは、カット線の連続性にあります。「ミシン目」は切り取りを目的としているため、連続したカット線で構成されていますが、「リード罫」は折りやすさを重視している点が異なります。
◎ダブルジッパー加工とは?
ジッパー加工と平行してもう1種のジッパー線を作る加工を「ダブルジッパー加工」と呼びます。通常のジッパーよりも綺麗・簡単に開封することができるのが特徴です。
ミシン加工、リード罫加工、ジッパー加工の役割
◎パッケージデザインへの貢献
- ・デザインの自由度向上: パッケージのデザインに多様な表現ができるようになります。
- ・消費者の利便性向上: 消費者にスムーズでストレスフリーな開封体験を提供し、商品やブランドへの満足度を高めます。
◎商品への貢献
- ・保存性の向上: パッケージの形崩れを防ぎ、中身の商品を密閉し、鮮度を保ちます。
- ・使い勝手の良さ: 使いかけの商品を衛生的に保管し、長期間の使用を可能にします。
◎生産・物流への貢献
- ・組み立ての容易さ: リード罫加工により、化粧箱や紙器の組み立て作業が効率化します。
- ・商品保護: 適切な組み立てにより、輸送中の商品破損のリスクを軽減します。
- ・コスト削減: 生産効率の向上や商品保護による廃棄率の低下が、物流コストの削減につながります。
ミシン加工、リード罫加工、ジッパー加工が使用されている例
◎ミシン目加工の例
チケット、ティッシュの箱の取り出し口や、メール便など。
◎リード罫加工の例
薬やサプリメント用の化粧箱、お菓子の箱など。
◎ジッパー加工の例
お菓子の箱やサランラップなど。
ジッパー加工の形状は、への字型、Y字型、T字型、波型など様々な種類があります。ブランドイメージや商品の特徴に合わせてデザインをお選びいただけます。
LOTTE「コアラのマーチ」の箱パッケージでは、左右のつまみがついていて、利き手が左右どちらの人でも、どちらの方向に力がかかっても開けられるようになっています。
旭化成の「サランラップ®」では、刃と反対側に引っ張って開封しやすいように設計されており、開封時に内側にある刃で指を傷つけないような設計がされています。
◎ダブルジッパー加工の例
ティッシュペーパーや厚紙封筒など。
SCOTTIE®の「スコッティ ティシュー」では、ピッチ(刃と刃の間隔)を工夫した2本のミシン目が平行に並んでいて、快適な開封体験ができるような工夫がされています。
どの工程で紙加工が施されている?
商品パッケージの製造では、「ミシン加工」、「リード罫加工」、「ジッパー加工」は、型抜き加工(トムソン加工)で行われます。この工程では、木型を使ってパッケージの展開形状を切り出すと同時に、ミシン目やリード罫などの加工も施されます。木型には、切り離しに使用されるカッターのような刃(切り刃)やミシン目を入れるための刃(ミシン刃)など、さまざまな種類の刃が組み込まれています。
これらの紙加工が使われるようになった理由
昔は手で切り開けるようなパッケージが多かったですが、現代では、消費者のニーズや時代の要請によって、これらの技術が発展してきました。
◎利便性
ミシン加工、リード罫加工、ジッパー加工により、商品パッケージの開封や折りたたみを簡単にすることで、利用者はストレスなくスムーズに商品にアクセスできます。
◎SDGs
ミシン加工、リード罫加工、ジッパー加工により、商品パッケージを簡単に折りたたんでコンパクトにでき、ゴミの削減やリサイクルの促進を通じて、環境保護や資源の有効活用に貢献します。
ミシン加工、リード罫加工、ジッパー加工技術力が与える影響
◎開封感
- ・紙の厚さ: 厚すぎると硬く、薄すぎると頼りない印象になります。最適な厚さで、心地よい「ぱりぱり」とした開封感が実現できます。
- ・中身の形状: 中身の大きさや形状に合わせて、型抜き形状を設計することで、スムーズな開封が実現します。
- ・ミシン目の幅: ミシン目の幅を適切に設計することで、スムーズな開封を実現します。
◎開けやすさ
- ・ミシン目の切り取りやすさ: ミシン刃のピッチ(刃と刃の間隔)が重要です。
- (△)ピッチが狭すぎる場合: 切りにくく、開封に力が必要になります。
- (△)ピッチが広すぎる場合: 簡単には切れるものの、紙が破れやすくなります。
- ・型抜き形状: 中身の形状に合わせた型抜きは、開封方向を明確にし、開けやすさを向上させます。
◎破れにくさ
- ・ミシン目の強度: ミシン目の切り込みが深すぎると、紙が破れやすくなります。
- ・紙の材質: 耐久性の高い紙を選ぶことで、破れにくさを向上させます。
まとめ
商品パッケージのスムーズな開封体験の裏側には、高度な紙加工技術が隠れています。
目立ちにくい細部にわたるまでブランドイメージを表現したい方は、広島で創業60年の老舗印刷会社の大洋印刷株式会社へ、ぜひご相談くださいね。大洋印刷株式会社では、”お客様の想いをカタチにする”商品パッケージ印刷を提案させて頂きます!