COLUMN印刷ラボ
用紙
パッケージ印刷と紙選びの深い関係

執筆:福富康一(福ちゃん)/2025-09-10
紙箱は“商品を語る”舞台装置
商品パッケージを考えるとき、多くの人がまずデザインや形に目を向けます。でも実は、土台となる「紙」そのものが、商品のイメージを大きく左右することもあるんです。
紙箱は単なる入れ物ではなく、商品の魅力を引き出す舞台装置。選ぶ紙ひとつで、同じデザインでも高級感が出たり、親しみやすくなったりするのです。今回はそんなパッケージ印刷と紙選びについてお話します。

紙の種類で変わる見え方・感じ方
パッケージ印刷に使われる紙には、大きく分けて「板紙系」と「特殊紙系」があります。
板紙は、よく見るお菓子の箱や医薬品の外箱に使われるベーシックな紙。白く、厚みがあり、表面が滑らかなので印刷の再現性も高く、コスト面でも安定しています。
一方で特殊紙は、和紙調やパール調、エンボス加工が施されたものなど多種多様。風合いを持たせた紙。ちょっと触れただけで「他の商品とは違う」と感じさせる力を持っています。ブランドイメージを大切にしたい時に、強い効果を発揮する素材といえるでしょう。
印刷方式との相性
紙と印刷方式の相性も見逃せません。
オンデマンド印刷は少部数や試作に向いていて、特殊紙にもしっかり対応できる機械が増えています。オフセット印刷は大量生産に強く、微妙な色調整がしやすいのが特徴。どの印刷方式を選ぶかは、紙質と数量、そして印刷方法と紙との相性のバランスを見ながら決めるのがポイントです。
紙選びの落とし穴
「厚ければしっかりするだろう」と考えて、必要以上に分厚い紙を選ぶ方もいます。でも、厚すぎると折りにくくなり、仕上がりが逆に不格好になってしまうこともあります。大切なのは商品の重さや用途に合った紙を選ぶこと。例えば、チョコレートやクッキーのパッケージなら310g程度の板紙。酒瓶300mlが1本入る程度であれば350g。酒瓶720mlであれば450g~550gといった具合です。ギフト用外箱ならさらに強度のある紙が必要になる場合があります。
紙でブランド体験をつくる
紙は単なる材料ではなく、ブランド体験の一部です。持ったときの質感、光の反射、印刷の発色。そのすべてが「この商品はこういうものですよ」とお客様に伝える役割を果たしています。たとえばマットな紙なら落ち着いた雰囲気を、光沢紙なら華やかで現代的なイメージを。ファンシーペーパーなら柔らかく優しい印象を。紙の印象でブランド体験を与えることができます。


紙選びも印刷デザインのうち
パッケージ印刷において「紙を選ぶこと」も、実はデザインや印刷と同じくらい重要な工程です。見た目だけでなく、触感や機能性、印刷方式との相性まで含めてトータルで考えることで、初めて失敗しない紙箱ができあがります。
これからパッケージを考える方は、ぜひ「紙そのもの」にも注目してみてください。デザインを引き立て、お客様に伝えたい価値をより強く表現してくれるはずです。
