COLUMN印刷ラボ
【第49回】型抜き加工について
こんにちは
今回は「型抜き」する際に使用される代表的な加工方法についてのお話です
それぞれの加工方法の特徴、長所、短所を解説しますので 最適な方法を選ぶ参考にしてみてください
トムソン抜き
木の板に箱を展開した状態の刃を埋め込んだものを裏から均一な圧をかけて連続して紙を打ち抜く
打ち抜き機を使って型抜きする方法

● 特徴
・木型を使用して紙を打ち抜く
・折り罫をつけることができる
・自動製函が可能なので箱などの便利な形状に仕上げることができる
※自動製函(じどうせいかん): 打抜き、罫線入れした平たい状態の箱をベルトで機械に流しながら折りたたみ、糊付けして所定の紙箱の形状に仕上げる
●長所
・木型を一度作成すれば、スピーディーに大量の紙を加工でき大量生産に向いている
・連続して1枚ずつ打ち抜いていくので寸法も正確で高品質
・自動製箱ができ便利な形状に加工でき、ワンタッチなどの組み立てが容易な形状に加工ができる
●短所
・木型の版を作るのに初期費用が発生
・連続で抜き、まとめてムシるので抜いたものが抜け落ちないようにトメが必要 わずかならが跡が残る
トメについて → https://taiyou-printing.co.jp/column/1264/
ポンス抜き(金属刃で重ねて圧をかけて打ち抜く)
クッキー型で生地を抜くようなイメージが近い
25〜50枚ほどの紙を重ねて金属の刃をプレスして抜くのが「ポンス抜き」トメの必要が無く打ち抜ける

●特徴
・金属のポンス(刃)を使用して紙を打ち抜く方法
・小ロットから大量生産まで対応可能
●長所
・初回に金属刃を作成する必要があるが、その後のコストは比較的低く抑えらる
・小ロットの生産にも最適(大量生産も対応可能)
・ラベルやメンコなどトメがついてはいけないものでも型抜きできる
●短所
・仕上りに大小のばらつきが生じることがある
・折り目(折り罫)をつけることができない
プロッターカット
カッティングプロッタへデジタルデータを直接送りカッティングしていく方法
データの線(パス)をカッターでなぞるように切り、自由度の高いカッティングをすることができる
1枚1枚セットしてカットするので量産には不向き

●特徴
・デジタル制御されたプロッタを使用して紙を切り抜く方法
・高い柔軟性がある
●長所
・金型や木型の作成が不要なため、初期コストが低く抑えられる
・少量生産や試作品の作成に非常に適している
・デジタル制御のため、デザインの変更が容易に行える
●短所
・1つのカッターでなぞる様にしてカットしていくため時間がかかりコスト効率が悪い
・押し込みだけの罫線をつけることはできるが、自動製函機が使えるほどのしっかりとした罫線にはならない
点線でカットして折線にする機種もあるが、切れ目が見える
・自動製函機での貼りができないため、ワンタッチ型などの作成には不向き
CO2レーザー加工
デジタルデータをレーザー加工機へ送ることでカッティングしていく方法
レーザーを使って切るので自由度が高く高精度、複雑なデザインでもカットすることができる
小ロット向きの方法で、弊社には未導入
●特徴
・CO2レーザーを使用して紙を切り抜く
・高精度かつ複雑なデザインが可能
●長所
・細かいデザインや複雑な形状でも、高精度かつ正確に切り抜くことができる
・初期コストが低く抑えられ、金型や木型の作成が不要
・生産直前までデザインの変更が容易で、非常に複雑な形状にも対応可能
●短所
・レーザーで紙を焼き切るので、紙にコゲや煙、熱などの影響及ぼす
・大量生産には不向き、時間とコストがかかる
・折り罫を入れることができない、折りのある商品には向かない
・自動製函機での貼りができないため、箱などの作成には不向き
あとがき
トムソン抜きは、レーザー加工のような高精細な打ち抜きはできませんが
罫線をしっかりと入れられるため他の抜き方と比べてそれが大きなメリットになります
この罫線を入れる作業を「罫入れ(けいいれ)」と読んでいます
良い罫入れには熟練の職人技が必要です
実際にトムソン抜きをしている様子を撮影した動画がありますので興味のある方はぜひみてみてくださいね
弊社では、トムソン抜き、ポンス抜き、プロッターカットの3種類の加工機を取り揃えています
各種 加工方法には得手不得手があります
それぞれに特徴があるので あなたのプロジェクトの目的や予算に応じて最適な方法を選びましょう
質問や相談がありましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください
最後まで読んでいただき ありがとうございます